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荒川区1LDKは築年数で利回りがどう変わるか。賃料より価格が先に下がる

/ データ基準日 2026-08-04

築古だから利回りが高い、だけでは説明が足りません。荒川区の1LDKでは、築0〜10年から築41年以上までに賃料の真ん中の値は約17%下がる一方、購入価格の真ん中の値は約49%下がっていました。

築0〜10年3.29%、築41年以上5.22%

荒川区の1LDKは、築0〜10年の募集賃料を価格順に並べた真ん中の値が月151,000円、購入価格の真ん中の値が54,800,000円です。年間賃料を購入価格で割った表面利回りは3.29%です。築41年以上では賃料125,000円、購入価格27,990,000円、利回り5.22%になります。

荒川区1LDKの築年数別表面利回り各築年数帯の募集賃料と購入価格から比べた、経費を引く前の利回り。0.01.42.84.25.63.29%3.62%5.10%4.37%5.22%0〜10年11〜20年21〜30年31〜40年41年以上
各築年数帯の募集賃料と購入価格から比べた、経費を引く前の利回り。
築年数賃料の真ん中の値購入価格の真ん中の値表面利回り賃貸/売買観測
0〜10年151,000円5,480万円3.29%1,904 / 42
11〜20年160,000円6,280万円3.62%1,200 / 57
21〜30年157,000円4,398万円5.10%242 / 29
31〜40年113,000円4,099万円4.37%289 / 92
41年以上125,000円2,799万円5.22%145 / 148

年代ごとの物件構成は同一ではない。利回りは経費控除前。

賃料は17%下落、価格は49%下落

両端を比べると、月額賃料は17.2%の下落ですが、購入価格は48.9%下落しています。価格の方が大きく下がるため、家賃収入を購入価格で割った利回りは上がります。

これは築古なら必ず得、という意味ではありません。築21〜30年の利回りは5.1%まで上がる一方、築31〜40年は4.37%へ一度下がっています。各年代に出ている物件の駅距離、面積、建物状態が違うため、築年数だけを動かした実験ではないからです。

築11〜20年が築0〜10年より高いのはなぜか

表を見ると、築11〜20年の購入価格は6,280万円で、築0〜10年の5,480万円より高くなっています。建物は古くなるほど毎年同じ割合で安くなる、と考えると不思議に見えます。

理由は、同じ建物を20年間追った数字ではないからです。築0〜10年に入っている42件と、築11〜20年に入っている57件は別の物件です。駅に近い物件や広い物件が築11〜20年に多ければ、築年数が上でも価格の真ん中の値は高くなります。新築に近い小さな投資用住戸が築0〜10年に多い場合も、同じことが起こります。

このため、五つの棒を滑らかな値下がり線として読むのは危険です。全体として価格の下がり方が賃料より大きいことは見えますが、隣り合う二つの年代だけで値下がり率を決めることはできません。

観測数の違いも棒の高さに影響する

賃貸の観測は築0〜10年が1,904ある一方、築41年以上は145です。売買は反対に、築0〜10年が42、築41年以上が148あります。新しい建物は賃貸募集を多く確認でき、古い建物は売買募集を比較的多く確認できた形です。

観測が少ない年代では、数件の高額物件や低額物件が真ん中の値を動かしやすくなります。築21〜30年の売買観測は29で、五つの年代の中で最も少ないため、5.10%という利回りだけを見て「この年代が最良」と決めるのは早すぎます。数字の横にある件数は、結論の強さを測るためにあります。

表面利回りの外側にある費用

築古物件では、修繕積立金、管理費、設備更新、空室、融資条件、売却時の買い手の狭さが効きます。表面利回り5.22%は、これらを引く前の数値です。購入判断では、管理費等を引いた実質利回りと、保有期間中の大規模修繕を別に置く必要があります。

毎月の管理費と修繕積立金は、入居者ではなく所有者が負担することがあります。給湯器やエアコンの交換、退去後の内装、募集を出してから次の入居者が決まるまでの空室も、受け取れる金額を減らします。固定資産税や保険もあります。表面利回りは物件を最初に並べるには便利ですが、手元に残るお金そのものではありません。

実際に比べるときは、年間賃料から毎年かかる費用と空室分を引き、購入価格と購入時の費用で割ります。これが、経費を引いた後の利回りです。古い物件ほど修繕の見込みを大きめに置くと、表面利回りで見えた差がどの程度残るかを確かめられます。

それでもこの比較が役立つのは、新築という理由で上乗せされる金額が、賃料と購入価格で同じ割合ではないと分かるからです。借り手が払う「新しさ」と、買い手が払う「新しさ」は別の曲線です。

借りる人は築年数だけを見ていない

築年数が古くても、室内が更新され、駅に近く、使いやすい間取りなら賃料が保たれることがあります。反対に新しくても、収納が少ない、騒音がある、駅から遠いといった条件があれば、価格ほど家賃を上げられないことがあります。

荒川区では、都心への移動、日常の買い物、住戸の広さなどが借り手の判断に入ります。投資する側が「新しいから高く貸せる」と考えても、借りる側が同じ金額を新しさに払うとは限りません。購入価格と賃料の下がり方が違う背景には、この見方の違いがあります。

融資と将来の売りやすさも築年数で変わる

古い物件は購入価格が低くても、借入期間が短くなったり、頭金を多く求められたりすることがあります。月々の返済が増えれば、利回りが高くても毎月の収支は苦しくなります。現金で買う場合と借入を使う場合では、同じ5.22%でも意味が違います。

将来売るときの建物年齢も考える必要があります。いま築41年の物件を10年持てば、売るときは築51年です。その時にどのくらいの買い手が融資を使えるか、建物全体の修繕が進んでいるかで、売りやすさが変わります。買う時点の利回りだけでなく、持っている間と売る時点までを一続きで考える必要があります。

築年数は価格表ではなく二本の曲線で見る

投資物件を見るときは、築年数ごとの価格だけでなく、同じ区・同じ間取りの賃料の線を並べます。価格の落ち方が賃料より速い区間では利回りが上がりやすく、反対なら築古でも家賃に対する購入価格の割安感は増えません。

候補物件を比べるための確認項目

この確認をした後でも古い物件の良さが残るなら、表面利回りの差に実用的な意味があります。差が消えるなら、高く見えた利回りは将来の費用を先に受け取っているだけかもしれません。

区・間取り・築年数別の利回り分析では、荒川区以外の区も同じ方法で比較できます。