東京市況レポート

東京23区の募集価格は7月も下落 売買は9回連続 2026年7月

対象期間 2026-07-01 〜 2026-07-31 / 観測日 4日(売買)・4日(賃貸)

価格は下がっている

7月の東京23区で、売買の募集価格は同一物件ベースで-1.58%動いた。 賃貸は-1.3%である。どちらも下落方向だ。

「同一物件ベース」と書いたのには理由がある。 市場に出ている物件の中央値を月ごとに並べても、価格が動いたのか、 出ている物件の顔ぶれが変わっただけなのかが区別できない。 そこで、前回も今回も掲載されていた同じ物件だけを取り出し、 その物件自身の前回価格と比べている。突き合わせた件数は、 どの段階でも売買で20,911件以上、賃貸で21,227件以上ある。

売買については2026-05-10以降の記録が揃っており、 そこから通算すると-3.65%になる。 この間、観測のたびに下がっており、直近9回連続で下落している。 上昇した回はひとつもない。賃貸は2026-06-10以降で-1.49%である。

読み方について、ひとつ断っておきたいことがある。 売れた物件、借り手がついた物件は掲載から消えるので、この突き合わせからは外れる。 残っているのは売れ残った物件のほうであり、値下げの圧力がかかりやすい側に偏っている。 したがってこの数字は「市場価格が下がった」ではなく、 「掲載され続けた物件の募集価格が下がった」と読むのが正確である。

売買は、動けばほぼ下向き

7月に価格を動かした売買物件は追跡できた35,253件のうち 21.4%で、その改定8,133件のうち 値下げが97.7%を占めた。値上げは189件しかない。

ここは読み違えやすいところなので、はっきり書いておく。 板橋区の「100%」は、板橋区の物件がすべて値下げされたという意味ではない。 7月に価格を動かした物件が追跡分の2割で、そのすべてが値下げだった、ということである。 残る8割は、募集価格を据え置いたまま7月を終えている。

売買:値下げの割合(区別)売買:値下げの割合(区別)0%25%50%75%100%板橋区100%品川区99.8%江東区99.5%目黒区文京区世田谷区豊島区港区墨田区新宿区渋谷区北区杉並区台東区中野区江戸川区練馬区大田区95.2%中央区94.9%足立区87.4%23区平均 97.7%
改定のうち値下げが占める割合

もっとも高い板橋区が100%、もっとも低い足立区でも87.4%。 値下げ幅の中央値は-3.23%で、区ごとの差は0.8ポイントにとどまる。 どこか特定の区が売られているのではなく、23区が一様に下を向いている。

追跡した物件数価格を動かした割合うち値下げ値下げ幅の中央値
板橋区1,59520%100%-3.08%
品川区1,57324.2%99.8%-3.36%
江東区2,17924.9%99.5%-3.41%
目黒区1,33225.2%99.4%-2.97%
文京区1,17524.2%99.4%-3.13%
世田谷区2,93719.4%99.3%-3.05%
豊島区1,35726.3%99%-2.94%
港区3,49321.9%98.6%-3.13%
墨田区80519.1%98.2%-3.08%
新宿区2,38722.3%98%-3.24%
渋谷区1,93223.8%98%-3.64%
北区85420.8%97.9%-3.34%
杉並区1,48924%97.6%-2.94%
台東区1,06922.8%96.7%-3.36%
中野区1,06626.5%96.5%-2.86%
江戸川区1,23413%96.5%-3.29%
練馬区1,51517.9%95.5%-2.87%
大田区1,49316.9%95.2%-2.9%
中央区2,07324.4%94.9%-3.6%
足立区1,65113.7%87.4%-3.46%

築年数で、売買と賃貸は別の減り方をする

ここからは7月28日時点の掲載内容そのものを見る。 価格の動きではなく、いま何が、どれくらいの価格で出ているかという話である。

売買では、築5年以内と築41年以上で1m²あたりの中央値が2倍以上違う。 新しいほど高いのは当然として、注目したいのは下がり方の速さである。

築年数による1m²あたり価格の減り方(築5年以内=100)築年数による1m²あたり価格の減り方(築5年以内=100)255075100築5年以内築6〜10年築11〜20年築21〜30年築31〜40年築41年以上売買 42賃貸 65
それぞれの都市の築5年以内を100として指数化。売買と賃貸を同じ軸で比較しています。
築年数掲載数構成比1m²あたり中央値
築5年以内3,1939.7%¥2,218,798
築6〜10年3,1689.7%¥2,041,204
築11〜20年6,56120%¥1,922,578
築21〜30年7,68223.4%¥1,468,997
築31〜40年3,1569.6%¥1,018,705
築41年以上9,05427.6%¥937,008

同じ区切りで賃貸を見ると、傾きがはっきり緩い。

築年数掲載数構成比1m²あたり中央値
築5年以内23,22420.3%¥4,867
築6〜10年19,28716.9%¥4,662
築11〜20年25,70622.5%¥4,326
築21〜30年18,55116.2%¥4,160
築31〜40年15,88313.9%¥3,266
築41年以上11,76110.3%¥3,143

売買価格は築年数とともに大きく落ちるが、家賃はそれほど落ちない。 古い建物ほど、価格に対して取れる家賃の比率が高くなるということだ。 利回りを気にする買い手が古い物件を見る理由が、この2つの表の差に表れている。 物件ごとの数字は利回りを計算する、 築年数と価格の関係の詳細は築年数と価格の関係を見るで確認できる。

なお築年数は賃貸掲載の83.4%にしか記載がない。 記載のない物件を除いた集計である。

何が売られ、何が貸されているか

間取りの構成は売買と賃貸でまったく違う。 売買はファミリー向けが中心で、賃貸は単身向けが中心である。

間取り掲載数構成比1m²あたり中央値
2LDK9,23028.1%¥1,753,975
3LDK8,92527.2%¥1,258,153
1LDK4,96815.1%¥1,553,684
2LDK+S1,9295.9%¥1,309,109
4LDK1,6355%¥868,735
1LDK+S1,1233.4%¥1,506,446
2DK7592.3%¥854,291
3LDK+S7292.2%¥1,100,719
1DK6261.9%¥1,195,572
ワンルーム5571.7%¥1,185,185
3DK3711.1%¥644,483
1K3691.1%¥1,233,831
4LDK+S2320.7%¥708,930
5LDK1740.5%¥885,679
4DK1440.4%¥720,648
2K1080.3%¥693,548
2LDK+2S910.3%¥973,510
1LDK+2S880.3%¥1,159,966
3K750.2%¥545,152
5LDK+S630.2%¥975,431
2DK+S570.2%¥811,111
6LDK550.2%¥944,032
間取り掲載数構成比1m²あたり中央値
1K48,87035.6%¥4,121
1LDK24,27917.7%¥4,618
ワンルーム23,39917.1%¥4,358
2LDK14,08810.3%¥4,659
1DK11,5168.4%¥4,673
3LDK4,0212.9%¥4,113
2DK3,7622.7%¥2,750
2K3,0282.2%¥3,473
1SLDK1,4181%¥4,563
2SLDK9860.7%¥4,106
3DK5510.4%¥2,258
4LDK3560.3%¥3,206
3SLDK2620.2%¥3,593
1SK1690.1%¥3,927
3K1420.1%¥2,355
1SDK580%¥3,929

売買掲載32,820件のうち上位2つは2LDKと3LDKで、 合わせて半分を超える。賃貸掲載137,169件では 1Kとワンルームだけで半分に達する。 同じ都市の同じ月のデータでありながら、売買市場と賃貸市場は違う商品を扱っている。

水準

7月28日時点の水準を記しておく。 売買は中央値で8,280万円、 1平方メートルあたり133.1万円。 賃貸は中央値で月11.9万円、 1平方メートルあたり4,299円である。

なお、この中央値は冒頭の変化率とは性質が違う。 中央値は出ている物件の顔ぶれによって動くため、月ごとの変化を見る目的には向かない。 水準の目安として読んでほしい。

このデータについて

7月中に売買4日、賃貸4日の観測を行い、 延べ129,151件と437,170件の掲載を記録した。

ここで扱っているのは募集価格であって、成約価格ではない。 実際にいくらで取引が成立したかは、この観測からはわからない。

変化率は、前回観測時にも掲載されていた同じ物件だけを突き合わせ、 その変化率を順につないで求めている。観測の回数を増やしても減らしても 結果が変わらない作り方である。一方「改定の件数」は観測の頻度に依存する。

区別の集計は売買のみを掲載している。賃貸の収集は新着順で、 既知の物件が続いた時点で打ち切る設計のため、日によって取得できる深さが変わる。 市全体の集計には足りるが、区ごとに分けるには母数が偏る。 構成比と築年帯の集計には、対象期間でもっとも深く取得できた日を用いている。

賃貸の観測日のうち2日は取得件数が上限に達しているため、水準の集計には用いていない。 売買では、掲載件数が極端に少なく取得に失敗したと判断した3日を除外している。 売買の集計は2026-05-10以降、賃貸は2026-06-10以降を対象としている。

データと算出方法について